それは夕立とともに
「……え。そんなの、初めて聞いた」
「そりゃそうでしょ。今俺が作ったんだから」
彼女は瞬きするだけで固まっていた。
思考が追いつかないのか、俺は種明かしをする。
「実は栞里ちゃんが入って来る前に、栞里ちゃんの名前で試したんだよね」
俺のおまじないが叶ったのかもしれないとニュアンスで伝え、すっかり静かになったガラス扉の向こうに目をやった。
思った通り雨はやみ、からりとした太陽が顔を覗かせていた。
「おお〜……、すげぇ」
雨上がりの虹を見て、俺のテンションは爆上がりした。
「雨も止んだ事だし、帰ろっか?」
「……あ。うん」
続いて電話ボックスから出てきた彼女の左手を引き、指を絡ませてギュッと恋人繋ぎをする。
栞里ちゃんは自分の手と俺の顔を交互に見比べ、キョトンとしていた。
「フハッ、なんて顔してんの?
俺ら今日から彼氏と彼女、……ね? 俺、栞里ちゃんのこと大好きだから」
これがずっと告いたかったのだ。
彼女はぶわっと顔を赤らめた。耳の先っぽまで赤く染めてまた俯き、コクンと小さく頷いた。
「あ、そう言えば俺、いっこだけ栞里ちゃんに謝らないと」
「……なに?」
「お宅の家にお邪魔した時。実は栞里ちゃんの部屋、勝手に開けたんだ」
「………へ」
「ごめんね、嘘ついて」
俺が向けた笑みにつられて、彼女がふわっと微笑んだ。
《了》
「そりゃそうでしょ。今俺が作ったんだから」
彼女は瞬きするだけで固まっていた。
思考が追いつかないのか、俺は種明かしをする。
「実は栞里ちゃんが入って来る前に、栞里ちゃんの名前で試したんだよね」
俺のおまじないが叶ったのかもしれないとニュアンスで伝え、すっかり静かになったガラス扉の向こうに目をやった。
思った通り雨はやみ、からりとした太陽が顔を覗かせていた。
「おお〜……、すげぇ」
雨上がりの虹を見て、俺のテンションは爆上がりした。
「雨も止んだ事だし、帰ろっか?」
「……あ。うん」
続いて電話ボックスから出てきた彼女の左手を引き、指を絡ませてギュッと恋人繋ぎをする。
栞里ちゃんは自分の手と俺の顔を交互に見比べ、キョトンとしていた。
「フハッ、なんて顔してんの?
俺ら今日から彼氏と彼女、……ね? 俺、栞里ちゃんのこと大好きだから」
これがずっと告いたかったのだ。
彼女はぶわっと顔を赤らめた。耳の先っぽまで赤く染めてまた俯き、コクンと小さく頷いた。
「あ、そう言えば俺、いっこだけ栞里ちゃんに謝らないと」
「……なに?」
「お宅の家にお邪魔した時。実は栞里ちゃんの部屋、勝手に開けたんだ」
「………へ」
「ごめんね、嘘ついて」
俺が向けた笑みにつられて、彼女がふわっと微笑んだ。
《了》


