京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
そうなると今日と明日は暇ということになる。


ひとりになると余計なことを考えてしまうに、どうしようかと思案していたとき、純一から提案があった。


「今日は午前中診療所に行きませんか? 怪我の経過を見てもらいましょう」


それは飯田医師からも言われていたことだった。


記憶を失っていることもあるから、今もまだ定期的に通っている。


「はい」


「それから、今日は電車に乗って少し遠くまで行ってみませんか?」


「遠くってどこですか?」


「兵庫県の三宮です」


「三宮?」


「はい。この周辺の散策をしていてもなにも思い出していないようなので、もしかしたら隣県から来たのではないかと考えたんですが……」
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