恋する乙女の下着事情

放水事件の呼び出し

<コスメティック・会社・ビルの受付・その1>

18時10分前にリノアは、会社の前に立っていた。
完全な就活スーツスタイルである。
ナイロンパンストの肌感触も、
なじめなくて、ついもそもそしてしまう。

指定された会社は、
見上げるような大きいビルで、
壁面が全面ガラスになっている。

その威圧感もあり、
リノアは、すぐにでも帰りたくなっていた。

この会社、
<コスメティック>は
海外製薬会社の化粧品部門。
海外セレブが、
インスタに挙げたこともあり、
若い女性の支持が高い。

環境問題やオーガニック素材にも、積極的に取り組んでいる会社だ。

リノアは前日にネットで、
遅刻をしないように、
会社の場所と概要を調べておいた。

嫌なことは早くやろう、
そしてすぐに忘れよう、
引きずらない。
多くの試合を体験してきた、
リノアのモットーである。

「あの、18時に高屋敷さんと
お約束している・・・栗原と申しますが」
リノアが、
慣れない感じで言うと、
受付の女性が、にこやかに応対してくれた。
化粧品を扱うだけあって、受付嬢も美人だ。

「栗原様でございますね。
高屋敷は会議で・・・
お会いできないと言付かっております」

リノアはほっとし、思わず笑顔になった。
とりあえず、
怒られるのは回避だ。
よかったぁ・・・
あの美形男子が、別の意味で
せまってくるのは怖い。
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