恋する乙女の下着事情
<ホテル・カフェ・その3>

高屋敷が、
携帯の待ち受け画面を、
リノアの目の前に突き付けた。

支社長が紺の袴、
中腰で刀を引き抜こうとしている
画像。
横向きで撮影されているが、
その姿勢は美しい。

「居合い、やる人だ。」
リノアはすぐにわかった。

「でも、片思いなの。わかっているの。
あの人は私とは違うから・・
だから・・・」
高屋敷はハンカチを握りしめて、
泣くまねをした。
ちなみにハンカチは美しいレースである。

リノアは、エレベーターの出会いを思い出した。
「ああ、すごい、きれいな女の人と一緒だったよね。」

<これはもう、失恋確定じゃん>

リノアがイチゴのショートケーキを一口、ぱくついた。
高屋敷の連れて行ってくれるところは、どこも高級でおいしい。

支払いも、
彼がカードで決済してくれる。
ただ飯なら、
いくらでも愚痴をきくよ

「そうなの、いっつも・・美女、連れている!」
財力・肩書があり、あの容姿なら、断る女性はそうはいないだろう。

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