恋する乙女の下着事情

リノアと支社長の遭遇

<保育園前駐車場・数日後・10時・その1>

保育園前の駐車場に、高屋敷の車がついた。
後部座席には、大きな段ボール箱がいくつも積み込まれている。

「もう、なんであたしの車が、
軽トラと同じ扱いになるのよっ!」
怒る高屋敷に、リノアは頭を下げた。
確かに高級外車に、だいこんは似合わない。

「ほんとーにゴメン!うち予算がないからさ・・市場に買い出しにいくのが
一番安いし」

今日は、リノアが指導している子どもたちの、演武発表会が午後にある。
その終了後に、
こどもとその保護者に、豚汁を振る舞う予定なのだ。

「ホント、あんた一人で作るの?量、半端なくない?」
「このくらいは全然問題ないよ。
家ではもっと大量に作っていたし」

栗原宗家では
寒稽古などのイベントの時、
おしるこや豚汁を振る舞うのが慣習になっている。

「荷物、すぐ降ろすから」
リノアは後部座席から、段ボールを次々に降ろし始めた。
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