恋する乙女の下着事情
＜ホテル・カフェ・その６＞

リノアはフォークを皿に置いて、ため息をついた。
そうなのだ。
家や親もなく、誰にも頼らないで、ストリートで生きる子どもたち。

次の日は、
死体になって発見されても、
誰も何も言わない。

「なんか、あんまり見ていて、
つらくなったから、日本に戻ってきちゃった。
逃げてきた・・かな。
私は何もできない、無力なんだって」

「そうなんだ・・重いね・・
いろいろあったんだ・・」
高屋敷がぽつんと言った。

「それに自分にとって、一番確かなものがこどもなのかな・・」
リノアが言った。

こどもたちの笑顔とはじけるエネルギーは、確実な未来を感じさせてくれる。
未来があれば、生きていける。

総帥である爺ちゃんは、
血縁のある跡継ぎを欲しがっている。
それでリノアに、なにかしらの圧力をかけてくる。

それが面倒くさくて、
リノアは道場から足が遠のいていた。
「こどもが欲しい・・か・・」
リノアは自分の言葉を、確かめるように繰り返した。

しかし、
いつまでも引き延ばすわけにはいかないのだ。
この課題は・・・
どこかで決着をつけねばならない・・・
しかも時間が限られている。
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