10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 思わず先生を押すけど、先生は全くそんなの気にしていない様子で続ける。

「先生っ……変になるっ……もうやめて!」
「大和って呼ばなきゃやめない」
「や、大和さんっ、もう、だめっ。だめなの」
「だめって顔、してない」

 名前を呼んだのに、先生は無慈悲にもそう言うと、私をソファに押し倒しまた口づける。そして、そのまま次は足にキスを落としだす。

 いちいち身体も足も跳ねるのが自分でもわかった。

 でも先生はやめてくれなくて、力も思ってた以上に強くて、先生は男の人なんだと思った。
 教科書で見た、力も強くて体つきも私とは全然違う……男の人だ。

 そんな先生に触られるたびおかしな感覚に陥って、自分の身体が自分のものでないように思える。
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