10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 一緒に食卓について、私の作った料理を一緒に食べる。
 先生がおいしそうに食べてくれるのが嬉しくてたまらなくて、私はずっとにこにこしてしまっていた。

「どうしたの?」
「嬉しいです。こうやって大和先生とゆっくり夕飯食べられて」

 今まであまり先生と食事する時間もなかった。
 普通の夫婦みたいなこんな時間がすごく嬉しい。嬉しくて、たまらない。

 そう言うと、先生は目を細めて私を見て、
「かわいいな。今すぐ全身食べたくなる」
と呟く。

「ふぇ? なんですか?」

 しかし私の耳にはうまく届かず、聞き返すと先生は、なんでもないよ、と微笑んだ。
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