10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 そしてタクシーが着いて、降りた先の建物を見上げて、私は口をあんぐり開けた。
 なんとそこは、有名なジュエリーショップだったのだ。私では買うどころか、入ることもできないような……。

 大和先生は私の手を引くと、店内に入る。

「好きなの選んで」
「す、好きなのって言われても……」
「果歩が選ばないなら俺が選ぶよ」
「え、ちょ……」

 そう言って、大和先生は店内をグルリと見渡すと、二重になっているショーケースの前まで行き、

「これにしよう」
とあっさり言った。

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