10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「わ、私の話より、大和先生です!」
「そうだよねぇ。果歩ちゃんは心配してるの。大和がなかなか結婚しないから」
「お前には関係ないだろ」
島原に言うと、果歩がなぜか傷ついた顔をした。
「さ、差し出がましいと思いますが、私も成井家の一員だと思っています。だから心配なんです。いつも大和先生一人で頑張ってるから……支えてくれるような人が必要なんじゃないかって」
「うんうん、そうだよね」
「だから」
果歩は明らかに花菱さんの方を見て、頷いて見せる。
(これ、花菱さんと俺の仲、つなごうとしてるよな……)
そう気づいて、頭がクラリと揺れる。酔いのせいではない。
絶望に近いその気持ちは、俺の頭を逆にクリアにさせた。
果歩はまたビールを煽って、こちらをまっすぐ見た。
俺は思わず目をそらせようとしたが、果歩の方が先に口を開いた。