花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
団長に道を空けるようにと横へと押しやられたリタの前をエミリーは進んでいく。
「エミリー」
ぽつりと呼びかけられたけれど何も言葉を返せず、視線を通わせることが許されたのもほんの数秒だけ。
途中、階段のところで遭遇した聖女クラスの生徒たちからも嘲笑われながら、エミリーは顔を俯かせたまま寮を後にした。
外に出ると簡素な馬車があり、その中へエミリーは押し込まれる。
騎士団長と騎士団員のひとりは馬へ、そしてもうひとりは監視役として馬車へと乗り込んだ。
エミリーは座席に腰掛け、後ろ手に縛られた状態のまま窓の外へと目を向ける。
じっとエトリックスクールの立派な校舎を見つめていると、ちゃんとこの場所に戻ってこられるよねと徐々に怖くなっていく。
「今からどこへ?」
問いかけて騎士団員と目が合うも、すぐにそらされ何も教えてもらえない。
これからどこに連れて行かれるのだろうか。
もちろん身の潔白は主張し続けるつもりだが、もしその相手が騎士団長のように聞く耳持たずだったとしたら、分かってもらえるかどうか不安でたまらない。
馬車はモースリー城の正門の前を通過する。
窓の向こうにそびえる城を見つめながら、今夜の王子との食事もなくなるんだろうなとぼんやり思いを巡らせる。