花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

「危ないから俺がやるよ」と魔導具を取り上げられ、テキパキとレオンが動き出す。

中身はこう見えて十六才。自分で出来るのにと思いながらも言い出せず、結局エミリーが手を出す隙もなく、レオンが紅茶を完成させた。

ふたりでソファーに並んで、彼が入れてくれた紅茶を飲んでいると、どこかから動物の鳴き声が聞こえたような気がしてエミリーは室内を見回す。

気のせいかと思ったけれどまた鳴き声が聞こえ、屋敷の中に何か入ってきちゃったかしらときょろきょろしていると、「あぁ忘れてた」とレオンがティーカップをソーサーに戻した。

ウエストバッグを開けると、そこから小さな生き物が怯えた様子で顔を出した。


「土兎?」

「そうだよ。エミリーは物知りだね」


「出ておいで」とレオンに優しく呼びかけられ、土兎はバッグからレオンの手のひらへとゆっくり移動する。

エミリーはその姿を凝視しながら、ティーカップをテーブルに置く。

土兎の背中にハートマークの模様。

どこかで見たことがあるようなと、そろり顔を近づけ観察すれば、土兎は腰が引けながらもつぶらな瞳でエミリーを見つめ返し、やがて嬉しそうにエミリーの肩へと飛び移った。

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