花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

「匂いで獣犬が寄ってくるから、お前さんは家にいな」と着いて行こうとしていた土兎を両手で抱え持ったオレリアに向かって、エミリーは「行ってきます!」と元気に手を降ってレオンと共に屋敷を出た。

レオンに白馬へと乗せてもらい、レオン自身もエミリーを前にして馬の背へ。

脇腹を軽く蹴り、門を開けてくれたアデルが「お気をつけて」と深く頭を下げた横を一気に駆け抜けていった。

あっという間に流れる景色、背中に感じる頼もしい温もり、飛んでいた鳥すら新鮮に見えて指をさしてはしゃいでいると、目が合った彼が優しく笑いかけてくる。

彼と一緒に旅してみたかったエミリーは夢が叶ったみたいで嬉しくてたまらない。

しかし、町のはずれへと向かうにつれ凶暴化した獣の姿がやけに目につくようになり、浮かれていた気持ちが徐々に消えていく。


「どうして獣の凶暴化が増えてしまったのかしら」

「大聖樹の聖女遷移の時期だからと言われているよ。それにしてもここまで急増するなんて、大聖樹の影響力は凄まじいな。早く安定させるべきなのにロレッタたちは何してるんだ」


王子の顔で苦言を呈するレオンを見上げながら、大聖女とエスメラルダを思い出し、エミリーは無意識に彼の腕を掴んだ。

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