花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

早速魔導鳥から手紙を受け取り、床にぺたりと座り込んだまま読み始める。


『親愛なるエミリーへ。元気でいるだろうか。俺はモースリーに着いてすぐに、町や大聖樹の様子を見て回ってきた。大聖樹目当てに押し寄せてきている獣の数は多く、やはり学生たちも駆り出されていた』


オレリアもエミリーの後ろに腰を下ろして、夢中で黙読している小さな体を自分の膝の上に乗せると、その肩ごしに手紙に目を通す。


『父上が凶暴化した獣に襲われて大怪我をしてしまっていた。命に別条ないがしばらく安静が必要で、今は代わりに兄上が指揮をとっている。……とは言っても、実際に命令を出しているのはオレリアが予想した通りロレッタだ。兄上はロレッタを慕っているから言いなりなんだ』


真後ろでオレリアが「国王に怪我をさせるなんて、騎士団長は何をやっているんだ」とぼやく。

国王陛下がそんな状態では余計に混乱し、周りもロレッタを頼らざるを得ない状況なのかもしれないとエミリーは唇を噛んだ。


『父上もそれをわかっている。けれど、怪我を負ってすっかり弱気になってしまい、この状況を打破するにはロレッタに頼るほかないなんて言い出した。俺にも、ロレッタを怒らせるような行動を取るなと釘を刺してきたよ。正直、動きづらい』


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