花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
彼のことだから学生が駆り出されていることについても苦言を呈したはずだ。
しかし国王はロレッタの言葉をすべてとし、息子である自分の言葉が届かないとしたら、レオンは悔しい思いをしていることだろうとエミリーは胸を痛める。
『大聖樹から放たれる瘴気がすごく、聖女院総出でも追いつかない状態だったのに、エミリーからもらった魔石が効力を発揮し、場を浄化してくれた。みんなは状態が改善されたのはロレッタのお陰だと思って喜んでいるけど、本人はそうでないことをわかっているはずだ。疑いを持たれてしまったかもしれない。すまない。どうか気をつけて欲しい』
魔石を贈ったのは浅はかだったかもしれないと反省すると同時に、ぞくりと背筋を震わせる。
このまま大聖樹の状態が良くなれば、ますます人々はロレッタに心酔することだろう。
平気で無実の罪をなすりつけ命まで奪おうとする女性がより強い権力を手に入れ支配しようものなら、グラント王国はきっとダメになってしまう。
『こんな手段ではなく、今すぐそばに飛んでいってあなたを守れたら良いのに。少しモースリーに戻ってきたことを後悔している。エミリーに会いたい。状況が落ち着いたら必ず戻る。だからどうか待っていて欲しい。俺の心はあなただけのものだ』