花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
実はフィデルに贈り物があり、侍女に帰路の途中でオレリアの元へ立ち寄ってもらい、オレリアを介して彼に渡してもらえたらと思って持ってきていたのだ。
本人と会えた上に、今が直接渡す絶好のタイミングだというのに、妙に緊張してしまい、喉が渇いて言葉が出てこない。
しかし、エトリックスクールの目と鼻の先まで来たところで、エミリーは勇気を振り絞って立ち止まる。
「フィデル。さっきは色々ありがとう。魔法薬も全部買ってもらっちゃった上に、大金まで」
「エミリーなら有意義に使うと分かっているからあげたまでだ。……って、どうかしたのか?」
心なしかもじもじしながら切り出したエミリーへと、少し遅れて足を止めたフィデルが笑う。
エミリーは恥ずかしさで顔を赤らめると、バッグから取り出した手のひらよりも小さな布袋を勢い任せてフィデルへと押し付けた。
「それ、お返しにあげる。いらないかもしれないけど、とりあえずもらって」
フィデルは押し付けられてほんの少し戸惑うも、布袋から取り出した半透明の魔石を指で摘み上げて「おお」と感嘆の声を発した。
「授業で初めて魔法付与を行ったの。基礎的な治癒効果しかないけれど、国中を飛び回ってるフィデルのお守りにはなるかなって」