花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
準備が整うと別れの挨拶もそこそこに、オレリア一行はメイルランド家の侍女たちを引き連れて出発する。
エミリーたちも華樹祭で賑わう町の雰囲気を横目で楽しみつつ、エトリックスクールへ向けて歩き出した。
「ねぇ、フィデルはどのあたりに住んでいるの?」
「城……の方だ」
エミリーからの問いかけに、フィデルは少しばかり歯切れ悪く答えた。
「そう。なら方向は一緒ね。遠回りをさせなくて済んで良かったわ」
モースリー城はエトリックスクールの先にある。高台にそびえる堅牢なお城を見つめながら、エミリーは思い出したように質問を繰り返した。
「そう言えば、オレリアの店に立ち寄ったのよね。プランダまでは行っていない? 実はさっき、うちの侍女からプランダで風邪が流行ってるって聞いて」
「エミリーはプランダ出身だったな。すまないがそちらには立ち寄ってないんだ。いつも通り、オレリアの店でエミリーと会えると思っていたから」
思いを囁いたフィデルの声音が甘く響き、エミリーは思わず鼓動を高鳴らせる。「そ、そう」と素っ気なく相槌を打つことで、エミリーは照れを隠す。
そして、ずっと肩から下げていた小さなバックへと意識を向ける。