花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

ただし少し違うのは、聖女クラスと一緒に大聖樹を見に行かないかと教師から誘われたことだ。

大聖樹の神々しさを目にしたらエミリーも興味を持ち、聖女クラスへ移動の話を受けようという気になるのではと教師たちは考えているようだった。

もちろんエミリーにとってはありがた迷惑な話である。

自分が着いて行けば聖女クラスの生徒に強く反感を持たれるのは目に見えている。

それにリタと一緒に一般に混ざって見に行く約束をすでに交わし、次の休日の外出許可もすでに取っている。少し距離があろうと、見られたらそれで十分なのだ。

しかし、三階廊下奥にある教室に到着し、空いている席にリタと肩を並べて腰を下ろした時、ご機嫌な様子で室内に入ってきた薬草学の教師で一学年の主任も兼務している男性教師ビゼンテのひと言によって予定は変更となる。


「なんと、国王様の計らいで聖女クラスだけでなく薬師クラスの生徒まで、つまりエトリックスクールの学生全員が招待を受けました。皆さんも城の裏庭奥まで入れますよ!」


まさかの話に生徒たちがざわつく中、ビゼンテがエミリーににこりと笑いかけた。

< 47 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop