【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 茉里……俺がかつて愛した人。 だけど今、俺が愛しているのはさくらだ。
 さくら以外、何もいらないと思っている。

「高枝先生……!」

「どうした?」

「山田さんの容態が急変しました……!」

「分かった。すぐ行く!」
 
 俺はすぐに救命に戻り、入院患者の山田さんの処置に入った。

「山田さん、聞こえますか?山田さん」

 心臓の音を聞くと、心拍が弱くなっていた。

「先生、血圧低下してます……!」

「アドレナリン投与するぞ!」

「はい!」

「山田さん、分かりますか? 山田さん?」

 ダメだ、心拍が弱い……。このままじゃ、心肺停止になる可能性がある。

「先生、心拍下がってます!」

「挿管するぞ!」

 山田さんの処置を終えた後、とりあえず一命を取り留めたが、余談を許さない状況であることに変わりはなかった。

「先生、山田さんのご家族、到着されました」

「分かった」
 
 山田さんのご家族に状況を伝えると、家族はうなだれたような表情で「そうですか……」と答えた。
 
「……今は安定していますが、いつまた容態が悪化してもおかしくない状況です」
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