俺が好きなのは、世界一可愛い君
俺の言葉が、ちゃんと届いたみたいだ。



最初から遠回りせず、真っ直ぐ伝えればよかったんだ。



こんなことにならなくても、怜ちゃんならきっと聞いてくれただろうから。



なんだか凄く、晴れ晴れとした気持ちになる。



「あ~ぁ。イチャイチャしやがって。楓なんかあれでホントに付き合って無いんだもんな。ま、時間の問題か。あぁ~ぁ~。海歌ちゃん、俺の彼女になってくんないかなぁ~。」



そんな、忘れ去られた1人の少年の独り言は、寂しく空中へと消えて行った。



なお、場の空気に耐えられなくなったこの少年の悲痛な叫びにより、数分後、その場はお開きとなる。



その日は、誰にとっても穏やかな夜となった。



……それが嵐の前の静けさだなんて、誰1人として気づきはしなかった。

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