俺が好きなのは、世界一可愛い君
毎日毎日会っていては、さすがに変わりそうなこの気持ちも、優しさはそのまま、日に日に綺麗になっていく怜ちゃんを前に、こんなことはあり得ないのだった。



怜ちゃんとは、軽口程度なら言い合えるようになったが、本当にそれだけだ。



なぜなら、両親不在の家で、わざわざ怜ちゃんの部屋まで上がる必要のない俺は、リビングで過ごすのが当たり前になっており、怜ちゃんの部屋にすら入ったことがない。



さらに、高校生にもなってちゃん付けはないだろうと頭でわかっていても、今更感が半端じゃなく、いつまでも怜香と呼べずにいた。



つまるところ俺は、どうしよもなく、ヘタレなのだった。



帰り際、怜ちゃんは決まって
「またね」
と、嬉しそうにふわりと笑う。



初めてあった時、俺にそう言われたのが嬉しかったのだとか。



俺達の関係を形容するなら友人。



気を許していることを強く思わせるそのきれいな笑みに、俺はいつも見惚れてしまう。 



毎度のことなのに、ことごとくそうなる俺は、相当重症だろう。

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