幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 ああ。
 迷惑を被った鈴木には聞く権利があるよな。

 ひとりの女に固執して、振られまくって、落ち込んでるバカなおれのこと……

 おれは鈴木に事の顛末を話してきかせた。

「……そうでしたか。知紗さんにわたしからそれとなく伺ってみましょうか? その男性とお付き合いされてるのか」

「いや、いい。ケリは自分でつけるよ」

 そう。人にどうこうしてもらうことじゃない。
 自分でなんとかするしか。

「そうですか……」

 鈴木はそれ以上、なにも言わなかった。
 そして、いつもの口調に戻った。

「来週の放送終了後にインスタライブする予定になってますんで」
「誰が出んの?」
「璃音とアリサさんと司会の局アナの3人です」
「何、話せばいいの?」
「当たり障りのない裏話を。台本がありますから」
「了解」


 あーあ。
 自分でなんとかしなきゃいけないことは分かってる。

 でも、いったいいつになったら、きれいさっぱり、ちさ姉を思い切れるんだろう。

 さっさと結婚でもしてくれれば、諦めがつくのかな。
 でも、その知らせを聞くのが嫌で、実家にずっと連絡できねぇんだけど。

 母ちゃんの弾んだ声で「知紗ちゃん、結婚するんだって」って言われるのを聞きたくないばっかに。
 
 
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