幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 でも、結局、おれの計画どおりにはいかなかった。
 声さえかけられなかった。

 だって……
 ちさ姉はひとりじゃなかったから。
 そして見てしまったから。

 
「知紗、こっち向けよ」
「雄二、だめだよ。誰かに見られたら……あっ」


 そうだよ…見てんだよ、おれがここで。

 おれたちの家の目と鼻の先。
 街灯の明かりも届かない暗がりの壁際で。
 同級生らしい男にキスされて、切ない吐息をつくちさ姉を。
 

 その夜は悔しくて一睡も出来なかった。

 母ちゃん、なんでおれを3年早く産んでくれなかったんだよ。
 そしたら、あんな男に絶対負けないのに。

 どうしても縮まらない、この3年の距離がとにかく恨めしかった。
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