わんこ系男子と甘々な日常
【蒼空side】
あーあ、奈子先輩が行っちゃった。
せっかく久しぶりに会えたのに……先輩と過ごす時間はいつもあっという間で。
別れたばっかなのに寂しいなぁ。
追いかけるのは、有り?
いや、そんなことしたらたぶん怒られちゃうよね。
『なんでついてきてるの?入学早々目立っちゃうじゃん?おバカさんなの?』
って、お説教される姿が目に浮かぶ。
……大人しくのんびり歩いて登校しようっと。
先輩が最後に置いていった言葉は飛び跳ねそうになるほど嬉しかったから。俺、お利口さんにできる!
だってさ。楽しみにしてる、って。
先輩も俺とまたお喋りできるのが嬉しいってことだよね?
ちょっと馬鹿な俺の勘違いとかじゃないよね?
へへへっ、先輩と一緒の気持ち!
なんか胸がくすぐったいなぁ。
約束を忘れてたのは悲しかったけど……それ以上にハッピーな気持ち!!
先輩との約束の日からは友達と遊ぶのを控えて。
嫌いな科目の授業もちゃんと起きて授業を真面目に受けて。
毎日の睡眠時間も二時間くらい削って。
試験が近くなった頃には起きてる時間はほとんど参考書や単語帳とにらめっこをしてて。
文房具を何度買い換えたか。シャー芯や赤ペンの補充を何度やったか。
それは数えられないくらいの回数で。