わんこ系男子と甘々な日常
ぎゅむっと力いっぱいに抱き締められ、全身にかかる大きい圧力。
重たくて苦しい。
私たちを直視しているであろう女の子の反応だって怖い。
……だけど。
「俺、奈子先輩にほめられるのが一番うれしい!」
私に寄り掛かる蒼空くんの声色が一段と明るくなったから。
首元にかかる息がくすぐったくて、そのくらい近い距離にいるんだって実感できたから。
蒼空くんの背中に腕を回さずにはいられなかった。
「……口に出さないだけで、いつも思ってるよ」
胸の中で小さく本音を零す私。
どんなに小さくても、蒼空くんは犬のような聴力で私の言葉を拾ってくれる。
その証拠に蒼空くんの『うれしい』の連呼が止まらない。
蒼空くんの喜びがダイレクトに伝わってきて、私の心まで踊り出してしまいそう。
心を落ち着かせるためにも、昔やっていたように蒼空くんの髪を指でゆっくりと梳いた。
蒼空くんを見上げると、真っ先に飛び込んできたのは赤色。
夕日に赤く照らされ、顔も髪も赤みがかって……照れてるようにも見える。
蒼空くんに照れという感情はないだろうし、きっと気のせいなんだけど。


