その甘いキスにご注意を ~鬼上司の顔の裏に隠された深い愛情と激しい熱情~
今でもはっきりと覚えている、あれは中学二年生の時だった。
その年に私は、生まれて初めての彼氏ができた。
自分でも信じられなかった。

なんで信じられなかったかというのは後述することにして。

その彼はイケメンでスポーツも勉強もできる、まさに女子にモテるために生まれてきたような人だった。
だから私とその人が付き合っている間、私は何度も色んな女子から陰口をたたかれて。

それが原因じゃないし、私から彼を振ったわけではないけれど、私たちの関係は一週間もたたずに終わった。
彼が私をフったのだ。
別れるときに、彼が言った言葉。

『お前みたいなスでデブで運動もできない女がバカみたいに喜んでいるのを見ると、笑えて来るんだよな』

——そう、この時の私は彼に言われた通り、ブスでデブで運動音痴だった。
だから何も言い返せなかった。
ただ下を向いて涙を堪え、拳を強く握り締めるしか私にはできなかった。

その時に感じた心の、詰めの食い込んだ手の、全ての痛みを今でも覚えている。
今でも思い出すだけで腹が立ってしょうがない。
取り合えず、このひどいフラれ方をされた時の私の気持ちと言ったら、もう表しようがない。

だから私は心の中で密かに、そして全身を燃やすように決心した。
——絶対に”いい男”を捕まえて、いつかコイツを見返してやろう、と。
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