白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
 手紙で連絡を取り合おうと約束もしないまま、クロードは隣国へ旅立っていた。だから彼の方から書いて送ってくれるなんて思ってもみなかったけれど、連日のように届くその内容は大体にして同じだ。

 クロードの近況と、ロゼリエッタの体調への気遣い。

 それから――まめに手紙をくれるのなら、もっと早く色々なことを話して欲しかった。二か月も前に送った拗ねたような返事を気にしているのか、隣国での彼の暮らしぶりは手に取るように分かる。手紙と言うよりは日記を認めている、そんな感じだ。


 それに対してロゼリエッタからの返事もほぼ同じような内容だった。

 変わりなく元気に過ごしている。それだけだ。言いたいことはたくさんある。でもロゼリエッタは結局伝えずに我慢した。伝えたらまた、クロードを想って泣いてしまう。

「お兄様のところにクロード様からのお手紙は届かないの?」

「近況程度は届くよ。たまにね、ほんのたまに」

 レオニールはたまに、と何度も強調する。

 兄にとって、いちばん親しい友人はクロードだった。彼は彼でロゼリエッタが抱くものとはまた違った種類の寂しさがあるのかもしれない。

「お兄様だって、たまにしか送らないのに」

「僕はいいんだよ。君が手紙に書いてくれるから。それに一応、結婚式の日取りが決まったって連絡はしたし。――日時を教えたところで来るかどうかわからないけどね」

「来て欲しいのなら、そうお伝えした方が良いと思うわ」

 他ならぬ親友の結婚式なのだ。クロードだって、そこは都合をつけてくれるだろう。しかし兄は歯切れが悪く、来れないかもしれないしなあと独り言ちている。よく分からない話だ。

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