sugar spot



絞り出した言葉は、とても周りくどいものだと
自覚している。

だって、こんなのただ、側から聞いたら
空腹を抱えた女の独り言だ。


『…千駄木にある中華屋行くけど、お前も来る?』


月末まで、まだまだ長い。

その日が待ち遠しいと思ってること、
伝わって欲しいようで伝わってほしく無い。

そういう面倒な矛盾といつも戦っている。



その瞬間、軽い息遣いに鼓膜が揺らされた。

今、笑われた?



“お前多分、こっからまた忙しくなると思うけど。“

「え、何その不穏な予言。」

“…でもちゃんと、連れてくから。
大人しく頑張れば?“

「……、」


この男も大概、面倒だと思う。

私の言いたいことはきっと伝わっているくせに、
切り返しが絶妙にムカつく。


そっちこそ頑張れば、と低く告げたら多分、また少しだけ笑って、漸く電話は切れた。



「あ、梨木さんいたいた!おめでと!」

「…え?」

その直後、南雲さんに優しい笑顔で声をかけられた。


でもお祝いの言葉の意味が全く読めなくて首を傾げたら、同じように、きょとんとした顔の彼がいる。


「……あれ?まだ聞いてないの?」

「何をですか?」
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