りんじん彼ジョ。~隣のお姉さんに襲われました~大人女子×専門学生




「私は、何も知らない」


最後にそう言って、かなちゃんと別れた。
声が震えたかもしれない。いや、声だけじゃない。身体全身が鳥肌がたった様に震えていた。


でも、本当に何も知らないし、私には……関係ない。




少し乱暴に頭を撫でる大きな手も、愛おしかった。
抱き締めてくれる温もりも全部、私だけの物じゃなかったのに離したくなくて。
未来なんて無かった。現実から目を反らして、ただ目の前のヨウスケにすがりついていた。


真夏の炎天下の中。
フラフラとする足取りで、アパートまでどう帰ったのか覚えていない。




――ケーコちゃんと連絡とってる形跡は無かったし



テキトーそうに見えたけど。なんだ、証拠はしっかり消してたんじゃない。

彼が何処に行ったかも分からないし、思い付かない。連絡さえしてくれない。



本当に私って何だったんだろう。


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