拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
冷蔵庫の前でガサガサやっていた牧野くんが近づいてきて体温計をひったくってみると、なんだこりゃ、と呆れた顔をしてみてきた。

「この熱で食事取れないようだったら点滴だぞ。」

「・・・水分は取れてる」

「病院行こう。連れてく」

「・・・動きたくない・・・」

病院に行き、喉を見てもらい、胸の音を聞いてもらったりしてちゃんと薬をもらったほうがいいだろうし、点滴もしてもらったほうが回復が早いかもしれないのはわかっているのだが、なんと言っても体が重くて動けそうもない。

「・・・じゃあ、取り敢えず寝て。眠れそう?」

「うん。すごく眠い」

「じゃあ、一旦寝て、目が覚めたら何かお腹に入れよう」

「・・・うん。ありがとう。」

そのまま寝室に行こうとしたが、私がこのまま眠ってしまったら困るだろう。

「牧野くん、もう帰るよね。鍵しめちゃうから。今日はどうもありがとう」

「適当に帰るから。鍵ポストに入れておく」

「うん。ありがとう。忙しいのにごめんね」

喋ってるのもつらくなり、ベッドに行き横になる。

牧野くんが買ってきてくれた薬が良く効いたのか、3時間程度はぐっすり眠れた。その後もウトウトと1時間以上していたので、4,5時間は横になっていた。

少し汗ばんだので下着も全部変え、洗濯籠に入れる。トイレに行ってから、水分を取ろうとリビングに行くと、牧野くんが携帯を見ながらソファに座っていた。

「おう。眠れたか?」

「・・・まだ居てくれたの?ごめんね・・・」

ソファに座るように促されて、体温計を手渡される。その間にペットボトルとゼリーを出してきてくれて、お礼を言い、口にする。
ピピっと鳴った体温計を見ると、38度ちょうどだった。
まだ高熱だが、さっきよりは全然体が楽だ。

「実家って30分くらいだったよな?俺車だし連れてってやろうか?そのほうが安心して休めるだろう」

「・・・いいよ。寝てればよくなる気がする。ありがとね」

「一人で大丈夫かよ」

「うん。平気。もしまた熱あがるようだったらそれこそお母さんに来てもらうから」

立ち上がって冷蔵庫を開けると、飲み物やカットしてあるフルーツや缶詰、ゼリーなどがぎっしり詰まっていた。

「こんなにたくさん・・・ありがとう」

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