拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
尊敬する先輩
「佐多さん、今日のプレゼンの資料、送っておきました」
「ありがとう」
後輩の木村くんから声がかかる。
あっという間の一年だった。入社して三年目になり、半年前に営業推進部に異動になった。
システム開発からは離れたが、営業部のサポートをするために以前いた情報システム部とは連携しながら仕事はしている。
私の教育係だった吉田さんが、4部の主任となったので、上手く橋渡しをしてくれていてありがたい。
結局、前の職場では後輩がいないままだったが、営業推進部に異動してからは、1つ下の後輩の木村君とセットで仕事をしている。今までとは全く業務が違うが、やりがいがあって楽しい。
「佐多さん、お昼行きませんか」
もうそんな時間か。
木村くんから声がかかり、二人で食堂に向かう。
二人で向かい合わせで席に座ると、真田君が前から歩いてくるのが見えた。
「お疲れ様」
私から声をかけると、おう、と言いながら、私の隣に座ってくる。
「久しぶり」
「ホントだね。何か月ぶりだろう」
「浦橋と連絡取ってる?」
「ううん、全く」
半年前、私が営業推進部に異動になったタイミングで、確か浦橋くんも転勤になっていたはずだ。
「来月結婚するんだってよ」
「・・・そうなんだ・・・浦橋くんって今大阪だっけ?」
うん、と真田君が頷くのを見て、もしかしたら、相手は元カノの松本さんかもしれないな、と薄っすら思う。
「満里ちゃん、大丈夫?」
黙ってしまった私を気遣い、真田君が声をかけてくるので、逆に驚き慌てて返事をする。
「だ、大丈夫だよ。気を遣わせてごめんね。同期でお祝いとかする時は声かけてね」
真田君なりに気を遣ってくれたんだろう。
他の同期の皆知っているのに私にだけ言わないのも気まずかったから教えてくれたのだと思う。真田君はそういう気遣いのできる人だ。