拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「・・・・・」

「何で避けてた?」

「・・・木村君からはどこまで?」

梅田さんにけん制されたことは話したのだろうか・・・

「ほとんど、何も。佐多なりに考えてるって聞いただけだ」

「・・・最近、仕事以外でも須藤さんと話をするようになって、私はそれが嬉しかったし楽しかったんです。でも、周りにはそれもこれも含めて、私が須藤さんに頼りすぎだって思われてると感じたので・・・仕事でも、それ以外でも距離をとったほうがいいと思いました」


「・・・俺は、佐多を手離したくないんだ。もっと近くにいてほしい」

私もだ。少しずつ須藤さんのことを知るようになり、もっと知りたいし、もっと色々教えてほしいし、いつでもどこでも須藤さんと一緒にいたい、と思うようになってからもう随分たつ。

しかし、須藤さんには長く付き合っている恋人がいると思っていた。別れて随分たつことを知ったのはつい最近だし、その頃には既に須藤さんの横には梅田さんがいた。

私がどんなに願っても、これ以上須藤さんには近づけないと思っていたし、この距離でも梅田さんにけん制されてしまった。
何だか心が折れてしまったのだ。

「そんなこと言われても、どうしたらいいのかわかりません」

グビっと残り少なくなっていたグラスを飲み干すと、すぐに田中さんが新しいドリンクを出してくれる。一口つけると、いつもの甘さはなく、かなり辛口の味だった。

「ちょっと苦めですね」

そう田中さんに言うと、味はそうだけど、すごく軽いくしてあるから、と言い、ニコっと笑った。

確かに、慣れてくると飲みやすいかも。初めての味だがとても気に入った。

須藤さんとの会話が途切れ、気まずい雰囲気のまま二人とも黙っていると、須藤さんのスマホが着信を告げた。
一言小声で話すとすぐに、ちょっと外すね、と言い、外に出てしまった。

一人になり、調子に乗ってグラスを開けていると、田中さんが前に来て言った。

「いくら軽いからって、少しペース早くない?」

「全然大丈夫です。まったくふらつかないし」

「ならいいけど。先週末、彼が来たよ」

「彼?」

「前に酔っぱらった満里ちゃんをここに連れてきた、片想いの彼」

牧野くんが来たって・・・・なんで今更。牧野くんが私を都合の良い女扱いをしていたと知り、喧嘩別れしたっきり、もう随分たつ。

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