拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
急なことで、頭が追い付かず、心臓もドキドキして破裂しそうだ。もうこれ以上息が続かず倒れそうになり、堪らず腕に縋りつくと、やっと唇が離れた。しかし、ドキドキが収まらず、思わず須藤さんの胸に倒れこみ、顔をうずめる。

すると、また私の顎を掴み再び口づけてこようとするため、慌ててまた顔を胸にうずめて

「もう心臓が無理です」

そういうと、頭の上で、フッと笑い、優しく頭を撫でてくれた。

しばらく抱きしめられていたが、歩ける?と言われて頷くと、私の手を引いて歩き出す。

30秒ほど歩いたところでタクシーがつかまり、先に乗せられ、後から須藤さんが乗ってくる。
スマホの地図か住所かを運転手さんに見せて、ここに言ってください、と伝えてるのが薄っすら聞こえた。

結局、いつも送ってくれる優しい先輩だ。

田中さんは、会いに行ったり、連絡をしなければ距離を保つことができた。だから傷も浅かった。

須藤さんのことを考えたり、姿を見かけると切なく、一緒にいると苦しい。梅田さんと一緒にいるところを見ると悲しく、自分の気持ちが忙しくて最近は疲れ気味だ。

須藤さんのことを好きにならないように一生懸命ブレーキをかけてきた。
だから距離もとろうと努力した。
なのに・・きっともう手遅れだ。

須藤さんは会社の尊敬する先輩で、好きな気持ちと、学びたい気持ちを天秤にかけた時、好きよりも勝ったはずの気持ちが・・・もう保てそうにない。

偶然や偶然じゃなくても、もう会いたくなかった。

お酒のせいもあり、涙もろくなっているのだろうか。涙がこぼれ落ちそうになるのをごまかすために目をつぶると、須藤さんが声をかけてきた。

「すぐ着くけど、眠かったら寝てろ」

すぐ、といっても自宅までは30分はかかるはずだ。寝たら酔いが回るだろうか・・・。そう思いながらも眠くて仕方がない。

どれくらい眠っただろうか。立てるか?と須藤さんに支えられてタクシーを降りたのは10分もたっていない気がする。

私の手を引き、見慣れない建物に入って行く須藤さんに声をかける。

「どこですか?」

「お前、もう限界だろう」
俺もだけど・・・

そういって連れてこられたのは、ホテルだろうか。フロントでキーを受け取り、部屋に入ると、白で統一された清潔な部屋だ。都心にある有名チェーンのネームが入っている。

「座ってろ」

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