拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
恋人になってくれるのだろうか。これからは彼氏彼女でいられるよね・・・と思いながら、そっと手を伸ばし背中に手をまわす。
すると、ギューっと力を込めて抱きしめられ、息が詰まる。

「ち、ちょっと、苦しいです・・・」

「だって、やっとだぜ。この前ホテルでヤッタ時だって全然足りなかったのに、その後1か月避けられて、気が狂いそうだった」

ヤッタ時って・・・そんなあからさまに・・・。既に私の体はガッチリとホールどされていて身動きが取れない。もしかして、このまま始まるのだろうか、と思い至り、ハッとして離れる。

「今日はもう帰ります」

「はぁ~?」

大きい声で問われ、思わずビクッとする。

「お前、それひどくない?」

「だ、だって、いつも急だから。私だってちゃんと準備したいです」

「何、準備って?」

色々だ。この前は酔っぱらっていてあまり気にならなかったが、下着とか、お肌のお手入れとか、その他諸々だ。

少しずつ距離を取り、帰ろうとして立ち上がった私を、ガシっと正面から抱きしめる、というか、掴まれると、ちょっとまってろ、と奥に行き、バスタオルと着替えを出してくれた。

「シャワーだけ許してやる」

そう言ってバスルームに追いやられた。
どうしようか一瞬悩むが、モタモタしていたら、一緒に入る、と言って脱がされかねない。
信用してないわけではないが、一応鍵を閉めて、急いでシャワーに入る。

ボディーソープを借りて体を洗い、洗面所に行くと、ボディーソープとお揃いのボディミルクが置いてあったので、ほんの少し拝借してみる。
この香り・・・須藤さんの香りだ。いつもいい香りだと思っていたので、嬉しくなってもう少しだけ塗ると、途端に胸がドキドキしてくる。
この前は訳の分からないうちに終わってしまったが、須藤さんは私で満足してくれるだろうか。

お先にすみません、と声をかけると、テーブルを片付けてくれているところだった。
慌てて、私がやります、というと、腕を掴まれソファに押し倒される。

須藤さんに借りたダボダボのスエットを捲られ、上半身に指と唇が這ってくる。
恥ずかしさとむずがゆさで身をよじると、ヤベっと言いながら立ち上がり、シャツを脱ぎならシャワーに行ってしまった。

急に放置され、どうしたらいいのか戸惑ったが、取り敢えず、中途半端に片付けたテーブルをきれいにした。
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