拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
怒りなのか、悲しみなのか、何なのかよくわからない感情がグルグルと頭の中をめぐり、胃が締め付けられるように苦しくなった。何だか吐きそうだ。もうこのまま横になりたいくらい、体に力が入らない。

しかし、本当にこのままここにいるわけにもいかず、とりあえず駅に行こう、と顔を上げて歩き出そうとしたら、目の前に牧野くんと菅原さんが立っていた。まさか戻ってきているとは思わず、あまりにびっくりして、ギャッ!と声をだして後ろに後ずさると、牧野くんが菅原さんの腰を抱いてないほうの手を私に伸ばしてきたが、私はそれを避け更に後ずさった。

「こんなところで何してるんだ?」

「・・・・・」

「帰ったんじゃなかったのか?飲み行ったのか?」

何でだか怒ったように責めるような口調で問い詰めてくるのが悔しくて黙っているとさらに聞いてきた。

「おい、何してるんだ、って聞いてる」

偉そうな口ぶりにカチンときて、私もキツイ口調で言い返してしまう。

「そっちこそ。楽しそうだね」

菅原さんの腰に手をあてているところに視線をおくりながらそう言うと、今度は牧野くんが無言になる。

「じゃあ、私こっちだから」

牧野くんの顔を見ずに駅の方に走り出す。

「おい、満里子!」

後ろから呼ぶ声が聞こえたが、振り向かず駅まで走った。

自分はこれからお楽しみの癖に、私がどこで何しようが勝手だ。飲みに行ったわけではないから嘘をついてはいない。

部屋に帰り着くと、イライラしてシャワーを浴びる気にもならず、ベッドに横になった。
先週までだったら課題が気になり、ちゃんと翌日に備えてきちんとした生活を心がけようとしていたが、もう課題も目途がつき、長かった新入社員研修もあと数日で終わりだ。

明日早起きする必要もないし、一人で飲みなおそうか。お店に入るのは面倒なので、買ってきて部屋で飲もう。酔っぱらって寝ちゃえば嫌なことが忘れられるだろう。がばっと起き上がって、お財布をもってコンビニに向かう。どれくらい飲めるのかわからないが、きっとビール1本も飲めないだろう、と思いつつもサワーとビールを1本ずつとおつまみになりそうなものをいくつか買ってコンビニを出た。

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