拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
その日は夕食を一緒に食べることなく、私の家まで車で送ってくれた。
ちょうど夕食の時間になったし、お父さんもゴルフに行ってていないため、夕食を家で食べていくか誘ってみたのだが、また今度ご馳走になると、と断られてしまった。

それからしばらくの間
メールのやり取りは続いていたが、実業団に正式に行くことになってからは連絡も頻繁にこなくなってしまった。

牧野くんと会ってから3週間後、
久しぶりに同期会が開かれることになった。

幹事を務めてくれる同期に、牧野くんが来るかきいてみたけど、欠席で返事がきている、と言われた。

そっか・・・。いよいよ本格的なサッカー選手になっちゃったんだな。
応援したいし、頑張ってほしいし、試合も観たいし。だけど、今までみたいに会えなくなる寂しさのほうが今の私には大きかった。
そんな自分勝手な気持ちばかりで、牧野くんのことを心から応援できない自分に自己嫌悪する・・・
だけど、最近連絡が途絶えてしまっている牧野くんと、今日会えることを楽しみにしていただけに、自分の寂しさばかりが押し寄せてきてしまっていた。

行くの面倒になってきたな・・
今回の飲み会の目的は牧野くんに会うためだった。
しかし、今更欠席するわけにはいかないだろう。

研修中の飲み会のように、恐らく私はこき使われるだろう。まあ牧野くんの来ないし、忙しくしていたほうが気がまぎれるし、まあいいか、と思い、お店の人と、料理のメニューや飲み放題コースの確認をする。

すると、陽美ちゃんが、久しぶり、と笑顔で入ってきた。
席に荷物を置くと、すぐに私のところにやってきて、「久しぶり、元気だった?」とハグをしてくる。
私もギューっと抱き着きながら、相変わらず綺麗だな、いい匂いがするな、と心の中で思う。

「牧野くん、来られないって?」

「そうみたいだね。」

「実業団行くんでしょ?」

「うん。もう練習には参加してるみたいだから、もうすぐにでも正式に出向じゃないかな」

「色々話聞きたかったのになあ。満里ちゃんは会ってるの?」

「実業団に行くことになったっていう話を聞いてからは会ってない」

「そっか・・・・。今はまだしばらく忙しい時期だと思うから。落ち着いたら逢えたらいいね。」

陽美ちゃんはそう言うと、ポンと私の肩を叩いて、席に戻っていった。

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