拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
配属
翌日、来週から配属される新しい職場に行くために、いつもとは異なるビルに向かった。
私が配属になるところは、本社組織の中にある、システム開発部門だ。場所も本社内にあり、これからしばらくの間通うことになる。すごい混雑だ。駅すぐのためそこまで歩く距離はないのだが、高層ビルが密集している駅でもあるため、改札を出たところからウジャウジャと人が溢れている。これから毎朝この混雑か・・と思うと少しうんざりするが、そのうち慣れるだろう。

30階建てのビルの中に入ると、3つのエレベータがあり、組織ごとに分かれているようだ。私が配属される情報系システム開発部は17階にある。混雑のかな恐る恐るエレベータに乗ると、13階まではノンストップのようだ。14階からは各フロアに止まり、17階で降りると、一緒に何人か降りた。

17階に下りればすぐわかると思っていたのは間違いで、入り口が4方向にわかれている、さてどっちだ、と案内板を眺めていると、同じように迷っている様子の男性が横に立った。私と同じ新入社員かな、と思い、チラっと横を見ると、満里子?と声がして、顔を上げると、なんと浦橋くんだ。

「何で?どうしたの?」

「俺、ファシリティ系のシステム開発部に配属になったんだよ」

「そうなんだ。支店に配属って言ってたのにね」

「俺も驚いたよ。まあ思えば、研修のときから開発部どうだ?って打診されてたし、支店だと設備系になるからな。満里子は?」

「私は情報システム部だよ」

「そっか。想定内だな」

「まあね。だけど、ファシリティってこのフロアなの?」

「いや、違うらしんだけど、17階の総務来いって言われてて」

確かに案内板をみるとファシリティ部門総務担当と書いてある。私とは逆方向だ。

「じゃあ、逆だね。またね」

「おう。頑張れよ」

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