40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
私は今、派遣のWebデザイナーとして働いている。
すでに2年目に突入しており、派遣3年ルール適用までは1年切っている。

私は有期雇用契約だ。
同じ部署で派遣として働けるのは3年だけ。
その後も同じ条件働くには、雇用形態を切り替えてもらわなくてはならない。
つまり、上の人に何らかの形で気に入ってもらい、必要とされなくてはいけない。
必要とされるための努力を、し続けなくてはならないのだ。

佐野さんは、私が派遣社員としてお世話になっているITシステムの会社で、SNSを担当する広報として、美貌を存分に発揮している。

一方の私は、上半身はオフィスカジュアル用に買った、体型カバーが売りのトップス。
色は、もちろん黒。
下半身は、ウエスト部分がゴムで作られたジャージだ。
似合う似合わないよりも。
他人の目を気にするよりも。
いかに体を楽にするかという、自分の快適さを優先させたファッションだ。

顔も、簡単にニキビが消えるBBクリームをさっと塗り、申し訳程度に100均で買ったリップを塗るくらいの3分メイキング。
今の時代はもう、人と会うとしてもWEB会議の中だけ。
それだけで、十分なのだ。

このように、女としてチグハグな私と、例え他人からなんて言われようとも、全身を作りこみ自分を売り込むことができる佐野さん。
そんな2人が、仲良くできるはずもない。
仕事で、必要があれば意見を交わすくらいには、佐野さんも私も、社会人としてのスキルは身についている。

それだけの関係だったはずなのに……。
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