40歳88キロの私が、クールな天才医師と最高の溺愛家族を作るまで
もしも、彼女がバスではなくタクシーを選んでいたとしたら、この日中に捕まえることができなかっただろう。
本当に家に帰りたかったのであれば、俺から離れたかったのであれば……タクシーで帰ってしまえばいい。

だけど彼女は、タクシーを選ばなかった。
バスを、選んでくれた。
そのお陰で、俺は彼女を捕まえることができた。

選択とは、運命の分かれ道だ……。
俺は仕事柄よく知っている。

自分の選択によって、自分の人生が作られるだけではない。
誰かの選択によって、自分の人生もまた、左右される。

俺の選択は、優花との関係性を確実なものにすること。
そして彼女の選択は……結果はどうあれ、俺にそのチャンスをくれた。

俺は、自分の人生が他人の選択に左右されたからこそ、俺の選択で彼女の人生を左右させたいと、自己本位なことを思った。
だから、彼女の気持ちを丁寧に慮ることなく、事を進めてしまった。
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