悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!



「お父様っ!お仕事中にすみません……わたくしに剣や弓のお稽古をつけてくれませんか?」


「レティ?今なんと……?」



ちなみに、レティというのはレティシアの愛称だ。



「わたくしに剣や弓のお稽古をさせてください」



なぜそんなことを言い出したのか、理解できないという顔だ。


まぁ、貴族の令嬢が学ぶ内容では無いからびっくりするのも分かるけれど……。



「護身術の時間に他のことも学んでみたいのです。それに、何かあった時に役に立つものでしょう?」



そう言っても、渋って許可を出してくれないお父様。



「お父様、おねがいします!」



わたくしは必殺技を繰り出した。


まだ子供の小さい体の為軽々と動ける。転ばないように気をつけながらもお父様に走り寄って――飛びついた。

もちろん軽々とわたくしを受け止めるお父様。そんなお父様を上目遣いで見つめるのだ。

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