悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!



「……それでも、ふたりきりはいけませんわ。トーマ様は王太子なのですよ?誤解されるような行動を取ってしまっては、信頼に関わってしまいます」


「軽率な行動をとったことは確かだ。謝るよ……でも彼女はキミにお礼を言っていたのだよ。

直接レティに声をかけてしまうと、身分の低い自分では女性同士で派閥的にも迷惑になってしまうから、婚約者である私から言って欲しいとね……」



そんなの言い訳にしかならない。

それに、わたくしはサラ様からお礼を言われるような事は何もしていない。


嫌われるように動いていたのだから、お礼なんて言われるわけが無いのだ。

だからこれはすべてトーマ様の嘘に決まっている。



「分かっていただけたなら良かったですわ。トーマ様にあらぬ噂が立てられるのは良くないことですから……。それと、言い訳は聞きたくありません……」



勝手に口から出ていく言葉を止めることは出来なかった。

こんなこと言うつもりなど無かったのに――。

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