悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!



「黒地のレースを使ったドレスで、腰から下にボリュームが出るものです。胸元にはリボンで作られた花がついています。とっても豪華に仕上げましたの」



もちろん、リオの記憶の中の物語通りに作ってもらったものだ。


リボンに薄い紫を使ったのはトーマ様の瞳の色だからだろう。

それだけだと物足りないからと付け足したのが水色のリボンだ。これは自分の髪の色だからだろう。


パーティーで婚約者の色を付けるのが一種のファッションとなっている。

だから、物語の中のわたくしはトーマ様と結ばれると何も疑わずにこの色を付けたのだと思う。



「黒か……」


「トーマ様?」



わたくしのドレスを聞いたトーマ様は、何かを決めたような顔をしていた。


やっぱり、同じドレスを作らせてしまうの?王宮の針子なら沢山いるだろうから、間に合ってしまうのかもしれない。


今更わたくしのドレスは新しく作ることは出来ないので、今伝えたドレスをこのまま来ていくしかない。

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