悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!


サラッと当然のように言われる。でも――。



「でもわたくし、悪役令嬢……」


「レティ?それは何?」



しまった……!悪役令嬢はリオの記憶なのだ。トーマ様が知るはずない。



「でもわたくし、たくさん悪いことしてきました」



物語通りだけれど、サラ様に意地悪したのは事実だ。

悪役令嬢と言ってしまった事を誤魔化すようにそう言う。



「どこが悪さだって?優しさたっぷりだったじゃないか」



そう言って、トーマ様は私の行動を上げていく。


中庭で足を出したのは、その先にある花を踏まないようにする心遣い。お茶会でお菓子を別にしたのは体調が悪いサラ様を気遣ってのこと。


どうして知っているのか分からないけれど、まるでその現場を見られていたみたいだ。



「でも、わたくしおふたりで仲良く話しているところで癇癪を起こしましたわ」


「癇癪ねぇ……あの時のレティは可愛かったなぁ」



わたくしの欲しい返事とちがう!

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