同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「まぁ。安心しろ。俺はほかの男を好きな女を抱く気はない。」

そして眼を細めてわたしを見ると顔を離した。

「けど、おまえのことは気に入ってる。」

お猪口のお酒をくいっとあおった。

「だから、たまには恋愛相談のってやるよ。」

専務のお猪口にお酒を注ぐと、専務も注いでくれた。

「おまえの好きなその男が…うらやましいけどな。今は。」

結局、結構夜が更けるまで、専務に愚痴を聞いてもらっていたわたしだったけど、小料理屋のおかみに「もうしめるわよ。」と言われて店を出た。


「今日はありがとうございました。」

タクシーでマンション前まで送ってもらった。

「ああ。またな。男に振られたら教えてくれ。俺が猛アタックかけるから。」

そして専務はそのままタクシーでスイっと帰っていった。

なんだろう。あの専務って…

けど…
ちょっとは気持ち楽になったかも…

やっぱり…
向坂に気持ち…言わなきゃダメだよね。

そう…
このままじゃいけない…

ずるずるいくくらいなら…
当たって砕けろ…だよね。

けど…いつ言おう…。

ここ最近、あまり一緒にサシ飲みもしていない気がする。

そう、向坂の家に泊まってからは…一度もない。
お互い忙しかったのもある。
まぁ今も忙しいんだけど…

けど、それだけじゃなくて、なんだかまた気まずくなりたくなくて…避けてたのかもしれない。

泊った次の日の朝も、なんとなくお互い気まずい感じだった。


わたしから…動くしかない…


< 69 / 183 >

この作品をシェア

pagetop