欲情レイン



「姉ちゃん、キスした事ある?」

「はぁ?」


3つ離れた弟が性に目覚めたらしい。


バイト先から外へ出ると霧雨が降っていた。

傘を持っていなかった私は小走りで家に向かい、半分濡れながら帰ってきたところだった。


父親はまだ仕事から帰っていなくて、母親は多分ママバレーに出掛けているのだろう。
リビングにはゲームをしている弟1人がソファに腰掛けていた。



「な、なんでもない」

「何?彼女でもできたの?」


私が眉を潜めれば、弟はバツ悪そうに視線をゲーム画面へと落として口を開く。



「い、いないけど」

「好きな子できたの?」


なんてニヤニヤしながら、弟の顔を下から覗き込んでやる。



「ち、違うから!!」

頬を赤らめらがら一生懸命 否定するあたり、本当に好きな女の子もまだいないのだろう。

弟は嘘をつくのがとても下手な奴だから。



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