僕等はきっと、満たされない。

就職して1年

週末実家に帰った



晴に内緒で許婚に会うために



「はじめまして
よろしゅうおたのもうします」



オレの前に座った和服の女性は

初めて見た人じゃなかった



どこかで…

どこで?



彼女はまだ大学生で

彼女が大学を卒業したらすぐに
オレとの縁談を進めるという話だった



品のある淡い藤色の着物が

彼女を大人っぽく魅せた


整った綺麗な顔立ち


結い上げた髪が

少しきつそうに見える



晴とは違う

晴の笑顔が見たくなった



彼女のこと

何も知らない



晴がいるから

知りたいとも思わなかった



晴を好きになってなかったら

彼女を素直に好きになれたのかな?

受け入れられたのかな?



彼女が大学を卒業するまで

あと1年



あと少ししか

晴といれない



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