愛してしまったので離婚してください
「ここから、もう一度はじめよう。」
「え?」
雅が私を見つめる。

「いっぱい遠回りした。いっぱい失敗した。いっぱい後悔した。でも、ここからもう一度始めよう。いっぱい遠回りしたから、失敗したから、後悔したから、もう迷わない。」
「・・・雅・・・」
「俺の幸せはここにある。だから、もう迷わない。大切な人を守る。愛する人の隣にいる。それが俺の生きる理由だ。未来に進む道しるべだ。晶とこの子が、俺に教えてくれた。」
「・・・私も・・・もう迷わない。」
私は赤ちゃんを見つめてから、もう一度雅の方を見る。

しっかりとまっすぐ、私を見つめてくれる雅。

その瞳に赤ちゃんと私が一緒に写っていることがうれしい。

「愛してるから離れない。どんな未来も、雅とこの子と一緒に歩んでいく。」
私の言葉に、雅の顔にみるみるうちに笑顔が広がる。

私たちは肩を寄せながらもう一度赤ちゃんを見る。

未来に希望や光を感じながら・・・
< 240 / 251 >

この作品をシェア

pagetop