ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
「今日しか出番ないのが勿体ないよ。低予算なのにすごいクオリティ」

 律が、自分が履いているスカートを触りながら話しかけると、

「ありがとう、自信作だから嬉しい!」

 深川さんは目尻を下げて笑った。
 ダイヤモンドって、七色の輝きっていうでしょ? だからレインボーカラーにしたの。スパンコールはダンス係が手作業で付けたんだよ。
 と、貴重な制作秘話まで教えてくれた。

「うわぁぁ、あんなにカメラがあるよ~」

 近くにいるダンス係の子らが、緊張気味に声を上げる。
 広いグラウンドには、たっぷり撮影コーナーが設けられているのだが……撮影する保護者が何人もそこから溢れている。

 緊張するよね、私もだよ……特に、円になってウエーブするところがどうなるか気が気じゃないよぉ……と、律は共感してばかりだ。

「全体を見ると人の多さに緊張するから、一点だけ見ろ」

 平然とその子たちにアドバイスしているのは、ゆったりとしたサイズ感のダンス衣装を着こなしている新條だった。全然、緊張していない様子。やはりピンチに強い。

「ダンス係集合!」
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