幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
私は鞄を体育館の端に置いて南條くんに駆け寄る。

朝から南條くんを見ることができるなんて幸せすぎる!


それより!

せっかく練習に付き合ってもらうんだから、早く始めないと!

南條くんだって、この後部活の朝練があるんだから!



「有村さん、ボールある?」

「うんっ! ボール、あるよ!」



私は唯斗くんから無理矢理借りたボールを、鞄から取ってくる。

昨日、唯斗くんに『ボールを貸してください』とお願いしたら、『無理』『やだね』と散々なほどに断られたので、今朝、勝手に借りてきたボール。



「すごいね。準備良いね」

「本気で練習したいから!」



その言葉に嘘はない。

だから私は、昨日、唯斗くんに教わったシュートの仕方でボールを投げてみる。

そのボールは宙で弧を描き、ゴールにすっぽりと入った。

そしてボールはリズミカルな音を立てて弾んで転がる。
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