幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
そして、私が抱えているボールに手をかけた。

ボールが南條くんの手に渡る。

急な出来事に戸惑う私に、南條くんは微笑んで。



「今から3ポイントシュート打つね」

「え?」

「もし、このシュートが決まったら、有村さんは勇気を出せるよ!」



そう言って、南條くんは3ポイントシュートのラインに立つ。

ボールをその場でバウンドさせてから、思いきりボールを放つ。

そのボールは綺麗な弧を描いて、ゴールへと収まった。



「すごい……」

「シュート決まったでしょ? だからきっと、有村さんは葉月さんに話しかけることができるよ」

「うん……っ」



南條くんの優しさに泣きそうになった。


背中を押してもらった。

そう思える。


半泣き状態の私の頭を撫でてくれる、南條くんの手は温かかった。
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